『失恋カルタ』原作は又吉直樹のカルタ|ドラマとの違い——句がセリフになるまで

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『失恋カルタ』の原作は、小説でも漫画でもない。又吉直樹が書いた「失恋の句」と、たなかみさきが描いた「絵札」で構成されたカルタだ。50音すべてに1つずつ、失恋の感情を凝縮した読み句がある。ストーリーも登場人物も存在しない。

ではドラマの夏野千波・馬路光・野田彩世の3人はどこから来たのか。答えは「脚本家のオリジナル」。カルタの句をインスピレーションに、開真理と牧五百音が完全にゼロからストーリーを組み立てた。つまりこのドラマは「原作」ではなく「原案」——句の世界観を借りたオリジナルドラマだ。

各話のネタバレあらすじは『失恋カルタ』ネタバレあらすじ全話、キャスト・相関図は『失恋カルタ』キャスト相関図をどうぞ。

目次

「原作」ではなく「原案」——カルタとドラマの決定的な違い

通常のドラマ化は「原作小説のストーリーを映像化する」か「原作漫画のキャラクターを実写にする」。しかし『失恋カルタ』の場合、原案であるカルタにはストーリーも登場人物も存在しない。あるのは50音の読み句と絵札だけだ。

項目 カルタ(原案) ドラマ
形式 50音の読み句+絵札 連続ドラマ(30分×全話)
ストーリー なし 27歳の3人の恋愛群像劇
登場人物 なし 千波・光・彩世ほか9名
テーマ 失恋の感情 恋愛・結婚に向き合い始める27歳
句の使い方 読み上げて遊ぶ セリフの随所に散りばめる

西垣匠(馬路光役)は「セリフのあちこちにカルタがちりばめられていて驚いた」とコメントしている。句がそのままセリフになっているのではなく、会話の中に自然に組み込まれている構造だ。

又吉直樹の句——失恋をどう言語化したか

又吉直樹は自身の朗読会のためにこの句を書き下ろした。芥川賞作家(『火花』)としての文学的素養が、短い句に凝縮されている。又吉自身は「実体験ベースのものもあるし、別のものに置き換えて表現しているものもある」「女性視点で、女性から見た自分を攻撃的に描いた」句もあると語っている。(出典:TVガイドWeb)

公開されている句の一部:

  • 「仕事のせいにして別れるのが特技ですか?」
  • 「苦手な人いたよ、あなたの友達で……」
  • 「平然と明日を生きようとするあんたが眩しい」
  • 「うっかり/名前を呼んで、/不在が増した」
  • 「トーストを/二枚焼いてあまる」

最後の「トーストを二枚焼いてあまる」は、失恋後の日常の細部を切り取った句として、発表時から反響が大きかった。習慣が残ること自体が失恋の痛みであるという発見がある。

たなかみさきの絵札——切なさをまとうイラストレーター

絵札を担当したたなかみさきは、『ずっと一緒にいられない』『大なり小なり』などの作品で知られるイラストレーター。切なさと温かさが共存する画風が特徴で、又吉の句と溶け合って独自の世界観を形成している。書籍版ではふたりの「共作まんが」も収録される予定だ。(出典:お笑いナタリー)

カルタ→ドラマへの変換で加わったもの

脚本家の開真理と牧五百音は、カルタの「感情」を土台にしつつ、ドラマ独自の要素を大量に加えている。

3つの独立した恋愛ライン

カルタは1人称の失恋感情だが、ドラマでは3人の主人公がそれぞれ別の恋愛問題を抱えている。千波は元彼との別れと新しい出会い、光はゲイの恋人との距離感、彩世は職場の片思い——3つの恋愛圏がほぼ独立して進行する群像劇に再構成された。

「27歳」という年齢設定

カルタに年齢の概念はないが、ドラマは全員27歳。結婚を意識し始める年齢で、失恋が「次に進めるかどうか」の分岐点になる。又吉の句が持つ「どこか達観した切なさ」は、20代後半の温度感と合っている。

又吉の評価——「僕の想定を大きく超えていく」

又吉自身はドラマについて「僕の想定を大きく超えていく人間関係と会話の面白さ」と評価している。また「おじさんが集まって失恋物語を作るのは怖い」として、「若い皆さんで女性多めで」という制作体制をリクエストしたとのこと。(出典:TVガイドWeb)

書籍情報——カルタと書籍版の2種類がある

「失恋カルタ」には実は2つの商品がある。カルタセットと書籍版だ。

商品 内容 発売日 価格
カルタ(藤色版) 50音の読み句+絵札セット 2026年5月14日 3,300円
書籍版 句+絵+共作まんが+書き下ろしショートストーリー 2026年6月4日 1,650円

どちらもドラマの放送開始(3月31日)より後の発売。ドラマが先行し、書籍が後追いする珍しいケースだ。出版社はGakken(学研)。2025年2月に朗読会限定で販売された「朱色版」が大きな反響を呼び、藤色版として一般流通にリニューアルされた経緯がある。(出典:PR TIMES)

『失恋カルタ』作品情報

項目 内容
放送局 MBS/TBS ドラマイズム枠(火曜深夜)
放送開始 2026年3月31日(深夜)
主演 梅澤美波、西垣匠、加藤小夏
脚本 開真理、牧五百音
原案 又吉直樹(句)×たなかみさき(絵)『失恋カルタ』
配信 TVer(1週間無料)、FOD(見放題)

更新履歴

2026年4月14日:原案書籍とドラマの関係を公開

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この記事を書いた人

ドラマを「観る」だけでなく「読み解く」ことに10年以上取り組んできた、ドラマ考察ライター。年間100作品以上を視聴し、脚本構造・キャラクター心理・演出技法・原作比較・社会的文脈まで含めて分析する。「事実→構造→意味」の順で積み上げる考察を信条にしており、個人の感想ではなく一次情報に基づく分析を大切にしている。サスペンス・ヒューマンドラマ・大河・朝ドラ などジャンル不問。

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